私たちは、「日本GNH学会(Japan Society for GNH Studies, JS-GNH)」を設立しました。皆さんのご入会をお願いします。
GNH(Gross National
Happiness)とは、ヒマラヤ山脈に囲まれた小さな国であるブータン王国に由来します。1976年、ブータン王国のワンチュック前国王陛下が、最初に提唱された新しい社会経済開発の理念です。その後のブータン王国は、国民の「幸福」実現を国家発展の目的の一つとしてGNHを掲げ、立憲王制と民主主義の導入、国民生活の向上、社会経済開発に努めています。
ブータン王国によるGNHの理念に基づく国家建設は、国内総生産量(GDP)による成長拡大を唯一の目的として国家を営んできた、日本やアジアも含めた欧米諸国に大きな衝撃を与えました。つまりブータン王国が、物質的な富だけを指標とする従来型社会とその成長計画に対して疑問を投じたからです。これにより多くの国々では、自然・伝統文化・社会を大切にしながら、国家や社会が人びとの幸福感を満たすために何をするかを考える機運となりました。
日本においても、ブータン王国でのGNHによる国造りへの協力、諸分野からの研究、さらに日本の市町村や小さな地域社会でのGNH実践への取り組みなど、GNHは多方面で注目されています。
こうしたGNHについて、私たちは幅広い視点と立場から集い、多くの会員が一緒に考え、さらに活動する場となる「日本GNH学会」を設立します。
「学会」との名は、アカデミックの世界に限定された意味ではありません。もちろんGNH研究での成果をまとめられた研究者の皆さんが中核となり、将来にブータンあるいはGNH研究を志す人びとも育成していくことも学会として期待されます。さらに、ブータン王国の政府研究機関と公式かつ密接な研究協力体制を築き、国際的活動を展開するためにも、あえて「学会」を名称としました。
しかし、この学会は、広く国内外でさまざまな分野で活躍されている皆さんを中心に構成される会と考えています。つまりGNH学会は、研究者の意見を優先するものではないのです。なぜなら、GNHはごく普通の人びとの幸福を実現させる理念だからです。一人の人間として、共に考え、将来の世代のために活動することを本学会はめざします。
会員には、どなたでもGNHに関心がある、あるいは、ブータン王国に興味をもつなど、さまざま人たちのご入会を歓迎します。人間が結ばれる場であるのが、この学会の特徴です。
日本GNH学会は、次のような方針を持ちます。
・ ブータン王国におけるGNHでの国造りに協力する活動として、ブータン王国の実践を研究する
・ 世界で展開されるGNHの理念による実践について、多様な立場からの意見と調査をまとめ提言する
・ 私たちの生活の場、さらに国や地方公共団体におけるGNHについて考え、その実践促進のため活動する
・ 日本におけるブータン王国との友好・交流・研究を務める諸団体と協力する
・ 人との「結びつき」を大切にすることがGNHの思想の理念であり、人びとの「結びつき」の場を提供する
GNHを考えることは、今の私たち、将来の世界を考える糧となるでしょう。
こうした崇高な理念であるGNHを絆として広めるためにも、皆様のご入会を、発起人一同心よりお待ちしています。